チョコレートのおいしい召し上がり方

ワインやビールにおいしい飲み方がある
ように、チョコレートにもおいしい食べ
方があります。
そのためには、まずチョコレートをよく
理解する必要があります。
チョコレートの多くは、砂糖や甘味料、
粉乳、カカオマスの細かい粒子がちらばっています。
粒子を包み込んでいるのがココアバターの結晶です。
このココアバターは非常にデリケートで少しの温度差
で硬くなったり、柔らかくなったり融解したりします。
このことで、口に入れたときの口どけのいいダイナミ
ックな味の変化が味わえるのです。
このことを踏まえ、一粒のチョコレートの中に広がる
“不思議なおいしさ”を、存分にお愉しみいただくため
に、大切なポイントをご紹介します。


■ チョコレートを最適な状態に保つためのポイント

1.保存の際の温度・湿度管理
チョコレートは高温に弱い食べ物です。
保存温度は、20度以下が理想的。一般的には、12℃~18℃が良いとされています。
ご家庭の冷蔵庫でちょっとしたポイントを守るだけで、より良い状態で保存することができます。
・チョコレートに含まれるココアバターは28℃以上で融け始めてきます。
さらに、30℃以上の高温になると分離し、チョコレートの表面にココアバターが
浮き出てココアバターが表面で白っぽい結晶となって固まってしまいます。
この現象を「ファットブルーム」といい、風味が損なわれ食感が悪くなってしまいます。
・冷蔵庫のドアポケットなど、開け閉めにより温度変化が起こりやすい場所は、
チョコレートの保存に適していません。チョコレートは、温度変化に弱く、
温度差によりチョコレートの表面が結露したような状態になると、
チョコレートに含まれる砂糖が水滴へ溶けだします。
その後、この水滴が蒸発すると砂糖が結晶になって、チョコレート表面が固まります。
これを「シュガーブルーム」といい、味わいや食感が悪なる原因となります。
・チョコレートを冷凍保存することは避けましょう。
冷凍する際に急激な温度変化で表面が結露し、シュガーブルームが起こりやすくなります。
・冷蔵庫から出したてのチョコレートは、口の中に入れたときの最初の温度が低く、
ココアバターが 融けにくく、香味が味わえません。
食べる少し前に冷蔵庫から出しておきます。
このひと手間でカカオの香りと食感、甘さが驚くほど変わります。
・このように、温度や湿度に弱いデリケートな食べ物、チョコレート。
直射日光や高温多湿の場所、暖房のきき過ぎた部屋、
火のそば、ストーブやヒーターのそばに置かないでください。

2.しっかりと密封する
・チョコレートは、まわりの匂いを非常に吸収しやすい食べ物です。
フリーザーバッグのような保存袋に入れたり、密閉容器に入れてから冷蔵庫に入れましょう。
そうすることで、乾燥も防いでくれます。
また、タバコや香水などの匂いの強いもののそばにも置かないようにしましょう。
・光と空気に触れると酸化が早くなり、風味が悪くなります。密閉したパッケージで保存しましょう。
・チョコレートやココアのように良い香りを好む虫が多いようで、チョコレートの香りは虫を引き寄せます。
虫がつかないようにしっかりと封をしましょう。

3.その他
・賞味期限に関わらずできるだけ早めにお召し上がりください。


■ チョコレートのサイエンス・ロマンな食べ方

 チョコレートは、室温では「固く」手でパチンと割れ、
 口の中では「急激に溶け」、体温以上で「液体」になる不思議な性質をもつ食物です。
 まず、チョコレートをひと粒口の中に入れて、いきなり噛まずに、舌の上でゆっくり溶かしてください。
 ベルベットのような滑らかな口どけを感じ、つぎにカカオの味と香りを強く感じ、
 その後、口いっぱいに甘さが広がっていきます。
 このように、時間的に微妙に味と香りが変化するチョコレートのサイエンス・ロマンをじっくりと味わってください。
 そのあとアーモンドを噛むと、おいしさが深みを増します。

 最後に1粒のチョコレートの余韻を感じてください。
 目で見て、香りを嗅いで、食感を楽しんだり味わいを感じたり・・・五感を使ってチョコレートを
 味わうことを意識してみると、奥行きのあるチョコレートの魅力をさらにお楽しみいただけることと思います。


■ チョコレートと飲み物のマリアージュ

 マリアージュは「結婚」に由来する言葉。
 「相性の良い組み合わせ」や「幸せな出会い」のことをいいます。
 単純に「1+1=2」にとどまるのではなく、
 お互いの良さをより引き立て合い、1+1が3にも4にもなる
 組み合わせが「マリアージュ」といえます。
 この「幸せな出会い」を体験することで、さらにチョコレートの
 おいしさや魅力を発見していただけることでしょう。

 あなたはチョコレートを食べるとき、どんな飲み物を選んでいますか。

 最もポピュラーなのがコーヒー、エスプレッソ、カプチーノや紅茶とのマリアージュ。
 紅茶は香り高いダージリンやアールグレーなども人気です。
 和菓子の代わりに抹茶とのマリアージュもおすすめです。
 日本酒やワイン、ブランデー、ウイス キー、なども大人ならではの愉しみ方です。
 また、お祝いごとなどの晴れの日には、シャンパンと一緒にというのも格別です。
 好奇心と自由な発想で「自分流のマリアージュ」を発見して、至福のひとときを愉しんでください。